How to Use a UL Backpack

ULバックパックの使い方

ULバックパックの使い方

TRAIL BUMのバックパックは一般に「ULバックパック」といわれるスタイルのバックパックです。わたしたちのバマーは1990年代に北米で生まれたULバックパックの原型に最も近いデザインです。いうなればバマーのカタチこそ現代に伝えられたULバックパックの雛形といえるでしょう。典型的なULバックパックとしてあげられるのは以下のような特徴です。
  • 本体重量が500g程度の軽さ
  • 荷重を支えるアルミフレームなし
  • パッドはショルダーベルト、ウエストベルトの最低限
  • ポケットはフロント、サイドのみ

ULバックパックはその誕生から四半世紀以上が経ち、現在では様々なメーカーが自ら考えるULバックパックを世に送り出しています。細部においては新たなデザインや構造がうまれていますが、大枠は変わっていません。ここではトレイルバムのバックパックのようなULバックパックを使う際に注意をはらうポイントを見てみます。

背負い方

ULバックパックは1990年代にPCT(パシフィッククレストトレイル)やAT(アパラチアントレイル)といった北米のロングディスタンストレイルにおいて、スルーハイカーができる限り少ない負担で、軽快に快適に半年間のハイキングをおこなうためにうまれました。彼らスルーハイカーは一日平均20マイル(32km)歩くことを目安にしています。これだけ歩くためには荷物をできるかぎり軽くすることはもちろん、股関節の自由度を妨げないことが重要になります。こうした背景をおさえておくと、ULバックパックの背負い方も理解しやすくなります。

ポジションA

ULバックパックの基本ポジションはショルダーストラップをしっかりと引き絞り、背面上部、肩甲骨のあたりにバックパックをしっかりと密着させた状態です。人を背負った状態をイメージしてください。

このときにやや胸を張ると背中とバックパックの密着度が上がり安定感が増します。バックパックの軽さと荷物の軽さを最大限に活かして、背中を中心とした上半身全体で荷重を支えます。

この時の注意点としてスターナムストラップを絞りすぎないことがあげられます。これを絞り過ぎると猫背になり、バックパックの安定感が損なわれます。軽く絞る程度で十分です。

このポジションでバックパックを背負った場合、ウエストベルトは骨盤ではなく、ウエストに位置します。
ウエストベルトは振られ止めとして機能します。骨盤をベルトが拘束しないため、歩行の自由度が上がり、上りや下での足運びもスムーズにおこなえます。

これがバックパックの軽さ、長距離長時間の歩行を最大限に活かす背負い方です。

ポジションB

ULバックパックを背負うにあたっての基本はポジションAですが、いくらベースウェイトが軽くても一日中同じ背負方をしていては疲労も蓄積していきます。

水食料が多いときにはなおさらです。上半身の疲労が溜まってきた、肩や背中にハリやコリを感じる。そんなときにはショルダーストラップを少し緩め、バックパックのポジションを下げます。

ウエストベルトが骨盤を上から包むような位置まで下ろしたら、骨盤をウエストベルトでしっかりと包みます。いわゆる腰荷重させる背負い方です。

ULバックパックでも40L以上のテント泊対応のモデルではウエストベルトがしっかりしているものが少なくありません。それはこうしたポジションでも使用するためです。

骨盤を拘束することで歩行の自由度はさがりますが、荷重をしっかえり腰で支え、上半身の疲労を軽くします。

ポジションAとBはメリット&デメリットが真逆です。腰で背負うのが正しい、ULバックパックは軽いから肩で十分、と対立させて考えるのではなく、弱点を補い合う。負荷をかける箇所を交互にローテーションさせることで疲労を分散、軽減させる。これがULバックパックの合理的な背負い方といえるでしょう。

パッキング

ULバックパックのパッキングも普通のバックパックのパッキングとなんら変わりません。フレームや過剰なパッドがなく、本体生地も薄くやわらかいULバックパックの場合、バックパックのサポートが少ない分、むしろ基本に忠実なパッキングが求められます。パッキングのコツを身につける良い機会と考えましょう。

スキマなくギュウギュウに

パッキングの基本です。バックパックの中にデッドスペースとなる隙間ができると、そこに他の荷物が落ち込んだり、バランスが崩れたりと荷物が不安定になります。特にバックパックの下部にこうした隙間ができるとバランスは大きく崩れます。スリーピングバッグやダウンジャケットを圧縮せずにバックパックの下部に入れ、その上に詰めた荷物の重さで圧縮する方法はバックパックの下部に隙間をつくらないためです。

バックパックに荷物を詰める際、壊れてはいけないとゆとりをもってバックパック内に荷物を配置するとあっという間にバックパックはパンパンになります。ハイキングギアのほとんどは寝袋、テント、着替え、防寒着、雨具といったやわらかい布物になります。これらはパッキングによって壊れるということはまずありません。丁寧にバックパック内に詰めるよりも隙間を埋めるようにギュウギュウに詰めていくことが大事です。思い切りよく隙間に詰めて上から押し込んでください。

ロールマットを使ったクラシックスタイル

ULバックパックのパッキングにおいて、ロールマットをフレームやパッドの替わりにする方法があります。写真のようにロールマットを筒状にしてバックパックに挿入します。バックパック内で内側に空間をつくるように広げます。こうしてできた中央の空間に荷物をパッキングしていきます。ロールマットが荷物を外から押さえ込んでくれます。また背中のパッド、フレームの替わりにもなります。クラシックスタイルですが、シンプルなULバックパックにおいては今でも最も有効なパッキング方法のひとつで